遺品整理と社会の関係を考えると、今日の日本社会が抱える問題が見えてきます。
かつて遺品整理は遺族が行うものでした。といっても、それは高度成長期前の相当昔のことです。
現在のようにひとり暮らしの高齢者も少なく、また、医療もそれほど発達していなかったので長期にわたって入院するような高齢者もこれほどいませんでした。

急速に高齢化社会が進み、長い間病院で闘病生活を送る高齢者も少なくない現在、見取りも遺品整理もなかなか昔のようにはいきません。それでは、古い日本が良かったのかというと必ずしもそうともいいきれないでしょう。現在ではさまざまな民間サービスを利用した介護システムも整っていますが、昔は家族の中の誰かが一手にその役を担わざるをえませんでした。核家族化が進んだ現代ではそのような結びつきは少なくなりましたが、長引く不景気の中で共働き家庭も多く、同居はしたくてもできないという現状にある家族がほとんどです。

そうなると、どうしても遺品整理も業者に依頼せざるを得ません。
せめて遺品整理だけでも遺族でと思っても、その時間さえなかなか取れないのが現代社会です。
業者まかせにしてしまうのは薄情のように感じる人もいるかもしれませんが、しっかりとした業者ならば供養の心を込めて仕事をしてくれます。

また、ノウハウや法律に関する知識もしっかりとあるので素人よりも安心と考えることもできるでしょう。